在宅・病院で安心!看護師が教える洗髪ガイド
寝たきりや身体の不自由な方の洗髪は、ご本人や介護者にとって大きな負担になりますよね。でも大丈夫!この記事では、看護師の視点から、安全で快適な洗髪方法を分かりやすく解説します。ケリーパッドを使った方法や、洗髪台を使う方法、そして在宅での洗髪のコツまで、具体的な手順や注意点、さらに、より快適な洗髪のための工夫もご紹介します。この記事を読めば、あなたや大切な人が笑顔で洗髪できるようになりますよ。

洗髪の準備:安全で快適な環境づくり
洗髪は、寝たきりや身体の不自由な方にとって、大きな負担となる場合があります。しかし、適切な準備と手順を踏むことで、安全で快適な洗髪を実現できます。ここでは、洗髪をスムーズに進めるための準備段階について、詳しく解説します。
必要な物資の準備:シャンプー、タオル、洗面器など
まず、洗髪に必要な物資を準備しましょう。必要なものは、シャンプー、リンス(コンディショナー)、洗面器、バスタオル、フェイスタオル、ケリーパッド(または代替品)、コーム、使い捨て手袋などです。シャンプーは、低刺激性のものを選び、頭皮への負担を軽減しましょう。タオルは、吸水性の良いものを用意し、複数枚あると便利です。また、患者さんの状態に合わせて、洗髪台やシャワーチェアなどの補助具も必要となる場合があります。
洗髪場所のセッティング:プライバシー保護と快適性の確保
次に、洗髪を行う場所をセッティングします。プライバシーを確保し、患者さんがリラックスできる環境を作るのが重要です。ベッドサイドや浴室など、場所を選定し、周囲の温度や明るさを調整しましょう。寒さや明るさを感じさせないよう、暖房や照明を適切に調整することが大切です。また、滑り止めマットなどを敷いて転倒防止に配慮しましょう。洗髪後、身体を拭くスペースも確保しておきましょう。
患者さんへの説明と同意取得:不安を取り除き、安心して洗髪を受けられるようにする
洗髪を行う前に、患者さんに手順や注意点などを丁寧に説明し、不安を取り除くことが大切です。洗髪の方法や使用する道具について、分かりやすく説明しましょう。患者さんの意思を尊重し、同意を得ることも忘れずに行いましょう。洗髪中に痛みや不快感を感じた場合は、すぐに中断し、患者さんの状態を確認することが重要です。コミュニケーションを密に取り、安心して洗髪を受けられるよう配慮しましょう。
ケリーパッドを使った洗髪方法
ケリーパッドは、寝たきりや身体の不自由な方の洗髪を安全かつ快適に行うための優れたアイテムです。この章では、ケリーパッドを用いた洗髪方法を、具体的な手順と注意点と共に解説します。初めての方でも安心して実践できるよう、分かりやすくご説明します。
ケリーパッドの準備と使用方法
まず、洗髪に必要なケリーパッド、シャンプー、リンス、タオル、洗面器などを準備しましょう。ケリーパッドは、事前にぬるま湯で湿らせておくと、よりスムーズに洗髪できます。パッドを優しく広げ、髪の毛を挟み込むように使用します。髪の毛を束ねながら洗うことで、効率的に洗髪を進めることができます。
- ケリーパッドをぬるま湯で湿らせ、軽く絞ります。
- パッドにシャンプーを適量付けます。泡立てすぎると、すすぎにくくなるため注意しましょう。
- 髪の毛を数本ずつケリーパッドで挟み込み、優しく洗います。頭皮を強く擦らないように注意しましょう。
- シャンプーを洗い流した後、リンスを同様にケリーパッドを使って塗布し、洗い流します。
- タオルで優しく水分を拭き取ります。ゴシゴシ擦ると頭皮を傷つける可能性があるため、優しく丁寧に拭き取りましょう。
シャンプーの選択と使い方
シャンプーは、頭皮に優しい低刺激性のものを選びましょう。アミノ酸系シャンプーなどは、乾燥肌や敏感肌の方にもおすすめです。また、泡立ちが少ないタイプはすすぎやすく、洗い残しの心配も軽減できます。シャンプーの量が多すぎるとすすぎ残しにつながるため、適量の使用を心がけましょう。泡立ちすぎないよう、少量ずつ丁寧に泡立てて使うのがポイントです。
洗髪時の注意点:水温、力の加減、頭皮への刺激
洗髪時の水温は、ぬるま湯を使用することが大切です。熱すぎると頭皮を傷つけ、冷たすぎると不快感を招く可能性があります。また、洗髪中は、頭皮や髪を強く擦らないように注意しましょう。優しく丁寧に洗うことで、頭皮への負担を軽減し、快適な洗髪を実現できます。ケリーパッドを使用する際は、パッドを強く押し付けすぎないように注意し、優しく包み込むように使いましょう。洗髪後、頭皮の状態を確認し、赤みや炎症がないかチェックしましょう。
洗髪台を使った洗髪方法
洗髪台は、寝たきりや身体の不自由な方の洗髪を安全かつ快適に行うための優れた設備です。様々な種類があり、それぞれに特徴があるので、利用者の状態や施設の状況に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、洗髪台の種類、使用方法、そして安全に洗髪を行うための注意点について詳しく解説します。
洗髪台の種類と特徴
洗髪台には、大きく分けて「電動式」と「手動式」の2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、利用者の状態や介護者の負担などを考慮して選択しましょう。
- 電動式洗髪台:電動で角度調整や昇降が可能で、介護者の負担を軽減できます。しかし、価格が高く、設置スペースも必要です。
- 手動式洗髪台:手動で角度調整を行うため、電動式に比べて価格が安価です。しかし、介護者にとって負担が大きくなる可能性があります。
その他、折りたたみ式やポータブルタイプなど、様々なバリエーションがあります。スペースの制約がある場合や、持ち運びが必要な場合は、これらのタイプも検討してみましょう。
洗髪台を使用する上での注意点
洗髪台を使用する際には、安全面を最優先に考え、細心の注意を払う必要があります。以下に、重要な注意点をいくつか挙げます。
- 洗髪前の準備:洗髪前に、利用者の身体状態を確認し、必要に応じて排泄ケアを行いましょう。また、洗髪台に利用者を移乗する前に、ブレーキをかけて固定することを忘れずに行いましょう。
- 水温の調節:熱すぎるお湯や冷たい水は、利用者に不快感を与えるだけでなく、火傷や低体温症の原因にもなりかねません。必ず、適温のお湯を使用しましょう。事前に温度を確認し、利用者に確認することも大切です。
- 洗髪剤の選択:利用者の頭皮の状態やアレルギーなどに配慮し、適切な洗髪剤を選びましょう。低刺激性のシャンプーやコンディショナーを使用することをおすすめします。
- 身体の固定:洗髪中は、利用者の身体が滑らないように、タオルや滑り止めマットなどを使い、しっかりと固定しましょう。必要に応じて、介助者をもう一人配置するのも有効です。
- 洗髪後のケア:洗髪後は、しっかりとすすぎを行い、頭皮や髪の毛に残った洗髪剤を完全に洗い流しましょう。その後、タオルで優しく拭き取り、ドライヤーなどで乾燥させます。乾燥させる際は、火傷に注意しましょう。
洗髪後のケア
洗髪後のケアは、頭皮の健康を保つ上で非常に重要です。洗髪後、頭皮が乾燥している場合は、保湿効果のあるローションやクリームなどを塗布しましょう。また、髪の毛を丁寧にブラッシングして、絡まりを解消することも大切です。利用者の状態に合わせて、適切なケアを行いましょう。
洗髪台を使うことで、安全で快適な洗髪が可能になります。しかし、安全に洗髪を行うためには、適切な知識と技術、そして細心の注意が必要です。これらの点を踏まえ、利用者にとって最適な洗髪方法を選択し、清潔で快適な生活をサポートしましょう。

在宅での洗髪:工夫と注意点
寝たきりや身体の不自由な方の洗髪は、病院だけでなく、ご自宅でも大きな課題となります。しかし、適切な方法と工夫で、安全かつ快適に洗髪を行うことが可能です。ここでは、在宅での洗髪をスムーズに行うためのコツや、注意すべき点について詳しく解説します。
自宅でできる簡易洗髪方法
在宅での洗髪は、病院のような設備がないため、工夫が必要です。洗髪台がない場合でも、洗面器やバケツ、シャンプーハットなどを活用することで、安全に洗髪できます。具体的には、寝たままの状態、もしくは座った状態で洗髪する方法が考えられます。寝たままの場合は、防水シートなどを敷いて、濡れても大丈夫なように準備しましょう。座った状態での洗髪は、椅子に腰掛け、洗面器を適切な位置に置くことで行えます。
また、シャンプーの種類も重要です。洗い流す必要がないノンリンスタイプのシャンプーや、泡タイプのシャンプーは、洗い残しによる肌への負担を軽減し、介助者の負担も減らすのに役立ちます。さらに、リンスやコンディショナーの使用も検討しましょう。髪の毛の絡まりを防ぎ、ブラッシングを容易にすることで、洗髪後のケアがスムーズになります。
必要な道具と準備
在宅での洗髪に必要な道具は、病院と比べて簡素化できますが、それでもいくつかのアイテムが必要です。快適な洗髪のためには、以下のものを準備しましょう。
- 洗面器またはバケツ
- シャンプー(ノンリンスタイプや泡タイプがおすすめ)
- リンスまたはコンディショナー(必要に応じて)
- タオル(複数枚)
- コップ
- 防水シート
- 使い捨て手袋
- エプロン
- ドライヤー(必要に応じて)
これらのアイテムに加えて、状況に応じて、洗髪しやすいように工夫した枕や、身体を支えるためのクッションなども用意すると良いでしょう。また、洗髪前に、室温を快適な温度に調整し、十分な換気をしておくことも重要です。
介助者の負担軽減のための工夫
在宅での洗髪は、介護者にとって大きな負担となる場合があります。しかし、いくつかの工夫をすることで、負担を軽減し、安全に洗髪を行うことが可能です。例えば、洗髪前に患者さんの体位を安定させ、滑り止めマットを使用するなど、安全対策を徹底しましょう。また、洗髪時に必要な道具をあらかじめ準備しておいたり、洗髪手順を事前に確認することで、スムーズな作業を支援できます。複数人で介助を行う場合、役割分担を明確にすることも重要です。
さらに、洗髪頻度を調整したり、部分的な洗髪を検討することも、負担軽減に繋がります。毎日洗髪する必要はなく、頭皮や髪の状態に合わせて適切な頻度を選ぶことが大切です。例えば、頭皮の乾燥が気になる場合は、洗髪頻度を減らすことを検討しましょう。また、頭皮や髪の汚れが気になる部分だけを洗う部分洗髪も有効です。
在宅での洗髪は、適切な準備と工夫によって、患者さんにとっても介護者にとっても、より快適なものになります。この記事で紹介した方法や工夫を参考に、安全で安心できる洗髪を実践してください。
洗髪中のトラブルシューティング:よくある問題とその解決策
洗髪は、寝たきりや身体の不自由な方にとって、心地よい時間となる反面、トラブルが発生しやすい場面でもあります。ここでは、洗髪中に起こりうる問題とその解決策を、看護師の視点から具体的に解説します。スムーズな洗髪介助と、利用者の方の快適さを両立させるためのヒントをぜひ参考にしてください。
頭皮のトラブルへの対処
洗髪中に、頭皮のかゆみ、赤み、フケなどのトラブルが発生することがあります。これらの症状は、シャンプーの成分、水温、洗髪の強さなどが原因となる可能性があります。適切な対処法を学ぶことで、トラブルを未然に防ぎ、快適な洗髪をサポートできます。
- かゆみ・赤み:低刺激性のシャンプーを使用し、ぬるま湯で優しく洗い流すことが重要です。爪を立てずに指の腹でマッサージするように洗い、頭皮への刺激を最小限に抑えましょう。症状が改善しない場合は、皮膚科医への相談も検討しましょう。
- フケ:フケの原因は様々ですが、乾燥や脂漏性皮膚炎が考えられます。乾燥肌の場合は、保湿効果の高いシャンプーやトリートメントを使用し、洗髪後の保湿ケアを徹底しましょう。脂漏性皮膚炎の場合は、皮膚科医の診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。
- 傷や炎症:頭皮に傷や炎症がある場合は、その部分を避けて洗髪するか、医師や看護師の指示に従いましょう。無理に洗髪しようとせず、清潔なガーゼなどで保護することも有効です。
洗髪後の身体のケア
洗髪後は、身体を清潔に保つだけでなく、快適な状態を維持するためのケアが大切です。乾燥を防ぎ、快適な時間を過ごせるよう、適切なケアを実践しましょう。
- 乾燥対策:洗髪後は、すぐにタオルドライを行い、水分をしっかり拭き取ります。その後、保湿クリームやローションを塗布して、肌の乾燥を防ぎましょう。特に冬場は、乾燥が激しいため、念入りな保湿ケアが必要です。
- 体温調節:洗髪後は、体温が下がる可能性があります。暖房や毛布などで体温を保ち、寒さを感じさせないように配慮しましょう。室温にも注意し、快適な環境を保つことが重要です。
- 清潔な衣類に着替えさせる:清潔な衣類に着替えさせることで、快適さを高め、感染症予防にも繋がります。着替えやすい衣類を選ぶこともポイントです。
介助者への負担軽減策
洗髪介助は、介護者にとって負担の大きい作業です。身体への負担を軽減し、効率的に洗髪介助を行うための工夫をいくつかご紹介します。これらの工夫を取り入れることで、介護者の負担を軽減し、よりスムーズな洗髪介助を実現できます。
- 適切な道具を使用する:洗髪台やケリーパッドなど、適切な道具を使用することで、介助者の負担を軽減できます。また、これらの道具の使い方を熟知することで、より効率的に洗髪介助を行うことが可能です。
- チームで協力する:複数人で協力して洗髪介助を行うことで、介助者の負担を分散できます。役割分担を明確にし、スムーズな連携を心がけましょう。
- 洗髪頻度を見直す:毎日洗髪する必要はなく、状況に応じて洗髪頻度を見直すことで、介助者の負担を軽減できます。頭皮の状態や季節なども考慮しましょう。
- リフトや移動補助具を活用する:利用者の体位変換や移動をスムーズに行うために、リフトや移動補助具を活用することで、介助者の身体への負担を軽減できます。
洗髪中のトラブルは、適切な対処法と工夫によって回避できるものが多くあります。この記事で紹介した内容を参考に、安全で快適な洗髪介助を目指しましょう。そして、何よりも大切なのは、利用者の方とのコミュニケーションです。不安や要望を丁寧に聞き取り、安心して洗髪を受けられるよう、寄り添ったケアを心がけてください。

まとめ:快適な洗髪のためのポイント
ここまで、寝たきりや身体の不自由な方のための洗髪方法について、安全で快適な実施に向けた様々なポイントを解説してきました。ケリーパッドや洗髪台といったツールを活用する方法、そして在宅での工夫まで、幅広くご紹介しました。 大切なのは、ご本人と介護者、双方にとって負担の少ない、そして何より笑顔で終われる洗髪を実現することです。
洗髪頻度と適切なケア
洗髪頻度は、個々の状態に合わせて調整することが重要です。毎日洗髪が必要な場合もあれば、数日に一度で十分な場合もあります。頭皮の状態や、髪の汚れ具合などを確認し、ご本人の快適さを最優先しましょう。また、洗髪だけでなく、日々のブラッシングや頭皮マッサージなども、清潔さを保ち、血行促進に役立ちます。頭皮の乾燥を防ぐための保湿ケアも忘れずに行いましょう。
洗髪後の保湿ケア
洗髪後は、頭皮と髪の毛の乾燥を防ぐための保湿ケアが欠かせません。乾燥すると、かゆみやかぶれといったトラブルにつながる可能性があります。適切な保湿剤を選び、優しく丁寧にケアすることで、快適な状態を保ちましょう。 特に冬場など乾燥しやすい季節には、入念な保湿ケアが重要になります。
患者さんとのコミュニケーション
洗髪は、単なる身体の清潔を保つ行為ではありません。ご本人にとって、リラックスできる時間、そして心身のリフレッシュにも繋がる大切な時間です。洗髪前には、必ずご本人に声をかけて、希望や不安などを確認しましょう。 洗髪中も、優しく声をかけたり、状況を伝えたりすることで、安心感を与えられます。 良好なコミュニケーションを心がけることで、より快適な洗髪、そしてより良い介護関係を築き上げることができます。
この記事でご紹介した方法や工夫が、あなたや、あなたが介護する大切な方の生活の質向上に少しでも役立つことを願っています。 洗髪は、日々の生活の中で大きな部分を占める大切なケアです。 安全で快適な洗髪を通して、笑顔あふれる日々を送ることができるよう、ぜひ実践してみてください。 そして、何か困ったことがあれば、医療従事者や介護のプロフェッショナルに相談することをお勧めします。 一人では抱え込まず、周りのサポートを活用しながら、安心して洗髪ケアに取り組んでいきましょう。
監修者プロフィール

宮本 大輔
聖ルチア病院、福岡県立精神利用センター太宰府病院にて勤務
2017年 リアン訪問看護 設立
2022年 ネクストリンク訪問看護 設立
2024年 地域創生包括支援協会 理事
【資格】
・看護師
・相談支援専門員
・サービス等管理責任者

出利葉 貴弘
-医療・福祉分野の情報発信とDX推進を担う事業責任者
株式会社LIH 代表取締役
-Webマーケター/コンテンツディレクター
福岡を拠点に、これまで500社以上のWeb制作・マーケティング支援を行ってきました。2025年より「訪問看護テックナビ」の責任者として、医療・福祉分野の情報発信やIT導入を推進しています。
訪問看護で働く方々や、利用者・ご家族のために、「わかりやすく信頼できる情報」を届けることが私たちの役割です。本サイトを通じて、現場を支える力になれれば幸いです。
【経歴】
2015年 個人事業にてWebマーケティング業を開始
2016年 アイティーラボ株式会社(久留米市) 設立
2018年 株式会社LIH(福岡市) へ社名変更
2025年 株式会社テックナビ 取締役就任「訪問看護テックナビプロジェクト開始」
【保有スキル・資格など】
・Web制作(ディレクション・設計・ライティング)
・SEOコンサルティング(実務10年以上)
・AI×業務効率化コンサル