看護師のためのフローシート作成・活用から種類別まで徹底解説

看護師のためのフローシート作成・活用から種類別まで徹底解説

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看護師のあなたは、日々の業務で記録業務に追われ、本当に大切な患者さんとのコミュニケーションやケアに十分な時間を割けていますか?この悩みを解決し、患者さんの状態を的確に把握して質の高い看護を提供するための、フローシート作成・活用ガイドをご紹介します。

看護フローシートの基本と種類

看護師の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。患者さんのケアに全力を尽くす皆様をサポートするため、この記事では、看護記録の質を向上させる「フローシート」について、基礎から応用までを分かりやすく解説します。フローシートを理解し、適切に活用することで、日々の業務がより効率的になり、患者さんとの貴重な時間を増やすことができるでしょう。

フローシートとは?

フローシートとは、患者さんの状態を時系列で記録するためのツールです。バイタルサイン、投薬、排泄状況など、様々な情報を一目で把握できるように設計されています。これにより、患者さんの状態変化を迅速に察知し、適切な対応を取ることが可能になります。

フローシートの種類と特徴(記録様式、観察項目、疾患別など)

フローシートには、様々な種類があります。患者さんの状態や目的に合わせて、最適なフローシートを選択することが重要です。以下に、代表的なフローシートの種類と特徴をまとめました。

  • バイタルサイン記録シート: 体温、脈拍、血圧、呼吸数などを記録し、患者さんの全身状態を把握します。
  • 与薬記録シート: 処方された薬剤の種類、量、投与時間などを記録し、服薬管理を行います。
  • 排泄記録シート: 尿量、便通の回数や性状などを記録し、消化器系の状態を把握します。
  • 褥瘡(じょくそう)ケアシート: 褥瘡の発生リスク、状態、ケア内容などを記録し、褥瘡の予防と早期発見に役立てます。
  • 血糖測定記録シート: 血糖値、インスリン投与量などを記録し、糖尿病患者さんの血糖コントロールを行います。
  • 精神科用フローシート: 患者さんの精神状態、言動、睡眠状況などを記録し、精神科治療に役立てます。

それぞれのフローシートには、記録様式や観察項目に違いがあります。例えば、バイタルサイン記録シートは、時間経過とともにバイタルサインの変化を視覚的に捉えられるように設計されています。一方、褥瘡ケアシートは、褥瘡の状態を詳細に記録し、ケアの効果を評価できるように設計されています。疾患別にも、心疾患、呼吸器疾患、脳血管疾患など、それぞれの疾患に特化したフローシートが存在します。

それぞれのメリット・デメリット

フローシートには、それぞれの種類によってメリットとデメリットが存在します。以下に、主なメリットとデメリットをまとめました。

導入のメリット

  • 情報の可視化: 患者さんの状態を時系列で把握しやすくなり、変化を早期に発見できます。
  • 業務効率化: 記録の標準化により、記録にかかる時間を短縮できます。
  • 情報共有の円滑化: 医療チーム内での情報共有がスムーズに行え、患者さんへの適切なケアに繋がります。
  • 質の高い看護の提供: 患者さんの状態を詳細に把握することで、より質の高い看護を提供できます。
  • 法的証拠としての活用: 記録の正確性により、医療訴訟などの法的問題が発生した場合の証拠として活用できます。

導入のデメリット

  • 作成・管理の手間: 適切なフローシートの選択、作成、管理には手間がかかります。
  • 記録の負担: 記録項目が多い場合、看護師の負担が増加する可能性があります。
  • 情報過多: 不要な情報まで記録してしまうと、重要な情報を見逃す可能性があります。
  • 知識・スキルの不足: フローシートを効果的に活用するには、ある程度の知識とスキルが必要です。

作成における注意点

フローシートを作成する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 目的を明確にする: どのような情報を記録したいのか、目的を明確にしましょう。
  • 必要な項目を選ぶ: 患者さんの状態を適切に把握するために必要な項目を選びましょう。
  • 見やすいレイアウトにする: 記録が見やすく、必要な情報がすぐに分かるようにレイアウトを工夫しましょう。
  • 記録の正確性を確保する: 正確な情報を記録し、誤字脱字がないように注意しましょう。
  • 継続的な見直しを行う: 記録項目やレイアウトは、必要に応じて見直しを行いましょう。

これらの基礎知識を基に、次章では、現場で役立つ効果的なフローシートの作成術について解説します。

現場で使える!効果的なフローシート作成術

効果的なフローシートを作成することで、看護業務の効率化と、患者さんの状態を正確に把握することが可能になります。ここでは、患者さんの状態に合わせたフローシートの作成方法、必要な項目の選定、分かりやすいデザイン、そして具体的な活用事例について解説します。

患者状態別のフローシート作成ポイント

患者さんの状態は多岐にわたるため、それぞれの状態に合わせたフローシートを作成することが重要です。以下に、患者状態別の作成ポイントをまとめました。

  • 術後患者用フローシート: 手術の種類、バイタルサイン、創部の状態、ドレーンからの排液量、疼痛の程度などを記録します。合併症の早期発見に役立つ項目を盛り込みましょう。
  • 呼吸器疾患患者用フローシート: 呼吸数、酸素投与量、SpO2、呼吸音、喀痰の性状などを記録します。呼吸状態の変化を詳細に把握できる項目を選びましょう。
  • 糖尿病患者用フローシート: 血糖値、インスリン投与量、食事摂取量、尿糖などを記録します。血糖コントロールの状態を把握し、適切なケアに繋げます。
  • 褥瘡リスクのある患者用フローシート: 褥瘡のリスク評価、体位変換の実施状況、皮膚の状態などを記録します。褥瘡の発生予防に向けた情報を集約しましょう。
  • 精神科患者用フローシート: 精神状態、服薬状況、睡眠時間、食事摂取状況などを記録します。患者さんの状態を多角的に把握し、異変の早期発見に繋げます。

必要項目の選定と配置

フローシートに必要な項目は、患者さんの状態や記録の目的に応じて異なります。記録する項目を選定する際には、以下の点を考慮しましょう。

  1. 目的の明確化: フローシートで何を把握したいのか、目的を明確にします。
  2. 観察項目の選定: 目的を達成するために必要な観察項目を選びます。
  3. 記録項目の選定: 観察項目を記録するための項目を選びます。
  4. 記録形式の決定: 数値、チェックボックス、フリースペースなど、適切な記録形式を選択します。
  5. 項目の配置: 記録しやすく、見やすいレイアウトを意識して項目を配置します。

分かりやすいデザイン・レイアウト

フローシートのデザインは、情報の可視性と記録のしやすさに大きく影響します。以下の点を意識して、分かりやすいデザインを心がけましょう。

  • 見出しの活用: 項目ごとに見出しをつけ、情報を整理します。
  • 色分け: バイタルサインや異常値を色分けし、視覚的に分かりやすくします。
  • 簡潔な表現: 専門用語を避け、簡潔な表現を使用します。
  • 余白の活用: 適度な余白を設け、見やすくします。
  • 手書きスペースの確保: 手書きで記録するスペースを十分に確保します。

各部署ごとの活用事例

フローシートは、病棟、外来、手術室、訪問看護など、さまざまな部署で活用できます。以下に、部署ごとの活用事例を紹介します。

  • 病棟: 術後患者、呼吸器疾患患者、糖尿病患者など、疾患別のフローシートを活用し、患者さんの状態を詳細に把握します。
  • 外来: 継続的に通院する患者さんの情報をフローシートで管理し、診療の効率化を図ります。
  • 手術室: 手術中の患者さんのバイタルサインや麻酔状況を記録するフローシートを活用し、安全な手術をサポートします。
  • 訪問看護: 訪問先の患者さんの状態を記録するフローシートを作成し、情報共有とケアの質の向上に役立てます。

データの分析と改善

フローシートで記録したデータは、患者さんの状態を把握するだけでなく、看護ケアの質の向上にも役立ちます。記録されたデータを分析し、課題を発見し、改善策を講じましょう。

  1. データの収集: フローシートに記録されたデータを収集します。
  2. データの分析: 収集したデータを分析し、傾向やパターンを把握します。
  3. 課題の特定: 分析結果から、改善が必要な課題を特定します。
  4. 改善策の立案: 課題を解決するための具体的な改善策を立案します。
  5. 改善策の実施: 立案した改善策を実施します。
  6. 効果測定: 改善策の効果を測定します。
  7. 評価と見直し: 効果測定の結果を評価し、必要に応じて改善策を見直します。

フローシート作成は、一度作れば終わりではありません。継続的に改善を重ねることで、より効果的な記録ツールへと進化させることができます。

チーム医療におけるフローシートの活用

看護師の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。チーム医療は、患者さんのケアにおいて不可欠な要素であり、フローシートはその連携を支える重要なツールです。チーム全体で情報を共有し、患者さんにとって最善のケアを提供するために、フローシートの活用方法を掘り下げていきましょう。

効果的な情報共有の方法

チーム医療において、情報の共有は患者さんの安全とケアの質を左右する重要な要素です。フローシートは、患者さんの状態に関する情報を一元化し、可視化することで、スムーズな情報共有を可能にします。

  • リアルタイムな情報更新:患者さんの状態変化をリアルタイムで記録し、チーム全体で共有することで、迅速な対応を可能にします。
  • 多職種間の連携:医師、看護師、理学療法士、栄養士など、多職種の医療従事者が同じ情報を共有することで、それぞれの専門知識を活かした連携が生まれます。
  • 電子カルテとの連携:電子カルテとフローシートを連携させることで、情報の入力・検索を効率化し、医療情報のアクセス性を向上させます。

チーム内での連携強化

フローシートの活用は、チーム内の連携を強化し、より質の高い医療の提供に貢献します。それぞれの職種が患者さんの状態を深く理解し、協力することで、より良いケアプランを立てることができます。

  • カンファレンスの活性化:フローシートに記録された情報を基に、定期的なカンファレンスを開催することで、チーム全体で患者さんの状態を共有し、治療方針について議論を深めることができます。
  • 役割分担の明確化:フローシートを通じて、各職種の役割や責任を明確にすることで、チーム全体のパフォーマンスを向上させます。
  • コミュニケーションの促進:フローシートは、多職種間のコミュニケーションを円滑にし、チームワークを強化します。

ICTツールとの連携

ICT(情報通信技術)ツールの活用は、フローシートの効果をさらに高め、業務効率を向上させます。電子カルテやモバイルデバイスとの連携により、場所を選ばずに情報にアクセスし、迅速な対応を可能にします。

  • 電子カルテとの連携:電子カルテとフローシートを統合することで、情報の入力・検索を効率化し、医療情報の管理を容易にします。
  • モバイルデバイスの活用:モバイルデバイスを通じて、フローシートにアクセスし、患者さんの状態をリアルタイムで確認できます。
  • データ分析と活用:フローシートに記録されたデータを分析し、患者さんの状態変化や治療効果を評価することで、より質の高い医療を提供できます。

導入における課題と解決策

フローシートの導入には、いくつかの課題が存在します。しかし、これらの課題を理解し、適切な対策を講じることで、スムーズな導入と効果的な活用を実現できます。

  • 抵抗感への対応:新しいツールやシステムに対する抵抗感を持つスタッフもいるかもしれません。導入前に、フローシートの目的や利点を十分に説明し、理解を深めることが重要です。
  • 操作習得のサポート:操作方法が複雑だと、現場の負担が増えてしまいます。マニュアルの整備や研修の実施により、スムーズな操作習得をサポートしましょう。
  • 情報セキュリティ対策:患者さんの個人情報を保護するために、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。アクセス制限や暗号化などの対策を講じ、情報漏洩のリスクを最小限に抑えましょう。

研修方法

フローシートを効果的に活用するためには、適切な研修が不可欠です。研修を通じて、フローシートの目的、使用方法、記録方法などを習得し、チーム全体での理解を深めましょう。

  • 座学研修:フローシートの基礎知識や記録方法について、座学形式で学びます。
  • ロールプレイング:実際の患者さんのケースを想定し、フローシートを用いた記録や情報共有を実践します。
  • OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング):実際の業務の中で、先輩看護師の指導を受けながら、フローシートの活用を学びます。

事例紹介

フローシートの活用事例を通じて、その効果と具体的な活用方法を理解しましょう。以下に、いくつかの事例を紹介します。

  • 集中治療室(ICU)での活用:患者さんのバイタルサインや呼吸状態、輸液量などを詳細に記録し、急変時に迅速な対応を可能にしました。
  • 糖尿病患者のケア:血糖値、インスリン投与量、食事内容などを記録し、患者さんの状態を把握し、適切なケアプランを立案しました。
  • 褥瘡(じょくそう)管理:褥瘡の発生部位、大きさ、深さなどを記録し、早期発見と適切な処置に繋げました。

フローシートは、チーム医療における情報共有と連携を強化し、患者さんのケアの質を向上させるための強力なツールです。導入における課題を克服し、適切な研修を実施することで、チーム全体でフローシートを効果的に活用し、より質の高い医療を提供しましょう。

看護記録における法的・倫理的配慮

看護師として、患者さんの情報を適切に管理し、倫理的な観点から質の高い看護を提供するためには、法的・倫理的配慮が不可欠です。 記録は、患者さんのケアの質を左右する重要な要素であり、同時に法的責任を問われる可能性も孕んでいます。ここでは、看護記録を行う上で特に重要となる法的・倫理的配慮について詳しく解説していきます。

個人情報保護

患者さんの個人情報は、非常にデリケートな情報であり、厳重に保護する必要があります。個人情報保護法や関連法規を遵守し、患者さんのプライバシーを尊重した記録を心がけましょう。

  • 個人情報保護の重要性: 患者さんの氏名、生年月日、病歴、検査結果などの情報は、個人情報保護法で保護されています。これらの情報を適切に管理することは、患者さんの権利を守り、信頼関係を構築するために不可欠です。
  • 具体的な対策:
    • 記録は、施錠可能なキャビネットや、アクセス制限のある電子カルテシステムで管理する。
    • 患者さんの許可なく、第三者に情報を提供しない。
    • 情報漏洩のリスクを常に意識し、適切なセキュリティ対策を講じる。
  • 個人情報保護法とは?
    • 個人情報の適切な取り扱いに関するルールを定めた法律です。
    • 個人情報の取得、利用、提供に関する原則を規定しています。
    • 違反した場合の罰則も定められています。

情報セキュリティ

電子カルテやネットワーク環境における情報セキュリティ対策は、患者情報の漏洩を防ぐために非常に重要です。不正アクセスや情報漏洩のリスクを理解し、適切な対策を講じましょう。

  • 情報セキュリティ対策の重要性: 電子カルテシステムは、サイバー攻撃やシステム障害などのリスクに常にさらされています。これらのリスクから患者情報を守るためには、強固なセキュリティ対策が必要です。
  • 具体的な対策:
    • パスワードの適切な管理(複雑なパスワードの設定、定期的な変更)。
    • アクセス権限の適切な設定(不要な情報へのアクセスを制限)。
    • 不審なメールやWebサイトへの注意喚起。
    • ウイルス対策ソフトの導入と定期的な更新。
    • バックアップ体制の構築と定期的なテスト。
  • 情報セキュリティに関するガイドライン:
    • 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(厚生労働省)など、情報セキュリティに関するガイドラインを参照し、自施設の対策を強化する。
    • ガイドラインに沿ったセキュリティ対策を実施し、定期的に見直しを行う。

記録の正確性と信頼性

看護記録は、患者さんの状態や治療内容を正確に記録し、医療チーム全体で情報を共有するための重要なツールです。記録の正確性と信頼性を確保するために、以下の点に注意しましょう。

  • 正確な記録の重要性: 不正確な記録は、誤った診断や治療につながる可能性があります。記録は、患者さんのケアの質を左右するだけでなく、医療事故の原因となる可能性もあります。
  • 具体的な注意点:
    • 客観的な事実に基づいた記録を心がける(主観的な解釈や憶測は避ける)。
    • 誤字脱字や曖昧な表現を避ける。
    • 記録は、可能な限り速やかに、かつ正確に行う。
    • 記録内容に不明な点がある場合は、必ず確認する。
    • 記録の修正は、二重線で抹消し、訂正印を押す。
  • 記録の信頼性を高めるために:
    • 記録に関する研修を定期的に受講する。
    • 記録のチェック体制を整備する。
    • 疑問点は、積極的に先輩看護師や医師に相談する。

医療事故防止

正確な記録は、医療事故を未然に防ぐためにも重要です。記録を通じて、患者さんの状態の変化や異変を早期に発見し、適切な対応をとることが可能になります。

  • 医療事故と記録の関係: 不十分な記録や不正確な記録は、医療事故の原因となる可能性があります。
  • 医療事故防止のための記録の活用:
    • 患者さんの状態の変化や異変を記録することで、早期発見が可能になる。
    • 治療内容や薬剤投与の記録を通じて、ミスを防ぐことができる。
    • 記録を参考に、医療チーム全体で患者さんの状態を共有し、連携を強化する。
  • 医療事故が発生した場合の対応:
    • 事実関係を正確に記録する。
    • 関係者への報告と連携を行う。
    • 原因を分析し、再発防止策を講じる。

関連法規の遵守

看護記録に関連する法規は、個人情報保護法、刑法、医療法など多岐にわたります。これらの法規を遵守し、適正な記録を行いましょう。

  • 関連法規の例:
    • 個人情報保護法: 個人情報の取り扱いに関するルール。
    • 刑法: 秘密漏洩罪など。
    • 医療法: 診療録の記載義務など。
  • 法規遵守の重要性: 法規に違反した場合、法的責任を問われる可能性があります。
  • 法規に関する情報収集:
    • 最新の法改正情報を確認する。
    • 医療関連の法律に関する研修を受講する。
    • 疑問点は、弁護士や専門家に相談する。

看護師の皆様が、これらの法的・倫理的配慮を理解し、実践することで、患者さんへの質の高い看護を提供し、医療の安全性を高めることができます。記録は、患者さんの命を守るための重要なツールであり、看護師としての責務を果たすために不可欠な要素です。

フローシートの改善とPDCAサイクル

フローシートは、一度作成して終わりではありません。患者さんの状態や医療現場のニーズは常に変化するため、定期的な見直しと改善が不可欠です。そのための効果的なツールが、PDCAサイクルです。PDCAサイクルを回すことで、フローシートの精度を高め、より質の高い看護を提供できるようになります。

データ分析による課題の発見

PDCAサイクルを回す第一歩は、現状の把握です。フローシートの運用データを分析し、課題を見つけ出しましょう。具体的には、以下の点に注目します。

  • 記録の漏れや誤記がないか
  • 記録に時間がかかりすぎていないか
  • 記録内容が患者さんの状態を正確に反映しているか
  • チーム内での情報共有がスムーズに行われているか

これらのデータを分析することで、フローシートの弱点や改善点が見えてきます。例えば、特定の観察項目が記録されていない場合は、その項目の重要性を見直したり、記録方法を改善したりする必要があります。

改善策の実施と効果測定

課題が明確になったら、具体的な改善策を立案し、実行に移します。改善策は、フローシートのデザイン変更、記録項目の追加・削除、記録方法の標準化など、多岐にわたります。改善策を実施したら、その効果を測定することが重要です。
改善前後のデータを比較し、記録時間や記録の正確性、情報共有の円滑さなどを評価します。効果が認められれば、その改善策を定着させ、更なる改善を目指しましょう。

継続的な改善のための取り組み

PDCAサイクルは、一度回して終わりではありません。継続的にサイクルを回し、改善を続けることが重要です。そのためには、定期的なデータ分析と評価、チーム内での意見交換、新しい情報や技術の導入などが不可欠です。また、医療現場の状況や患者さんの状態は常に変化するため、柔軟に対応できるようなフローシートを作成することも重要です。

継続的な改善を通じて、フローシートはより使いやすく、患者さんの状態を的確に把握できるツールへと進化します。そして、それは、看護師の業務効率化、患者ケアの質の向上、そしてより良い医療の提供へと繋がります。

まとめ:フローシートで実現する、質の高い看護と効率的な業務これまでの章で、フローシートの基礎から作成、活用、そして改善に至るまでの道のりを詳しく見てきました。フローシートは、看護師の皆さんが日々の業務をより効率的に、そして患者さんへのケアの質を格段に向上させるための強力なツールとなり得ます。フローシート活用のメリット再確認フローシートを適切に活用することで、具体的にどのようなメリットがあるのか、改めて確認してみましょう。

  • 業務効率の向上: 記録業務の時間を大幅に削減し、患者さんとのコミュニケーションやケアに集中できるようになります。
  • 情報共有の円滑化: チーム全体で患者さんの状態を共有しやすくなり、多職種連携を強化できます。
  • 患者さんの安全性の向上: 状態変化を早期に発見し、適切な対応を迅速に行うことで、医療事故のリスクを低減できます。
  • 質の高い看護の提供: 患者さん一人ひとりに合わせたきめ細やかなケアを提供し、満足度を高めることができます。
  • 自己学習と成長: 記録を見返すことで、自身の看護技術や知識を客観的に評価し、自己研鑽に繋げることができます。今後の展望フローシートの活用は、単なる記録方法の改善にとどまらず、看護の質全体を底上げし、より良い医療を提供する基盤となります。
  • ICTツールとの連携強化: 電子カルテとの連携を深めることで、データの入力や分析をさらに効率化し、看護師の負担を軽減できます。
  • AI技術の活用: AIによるデータ分析を通じて、患者さんの状態変化を予測し、よりパーソナルなケアを提供できるようになる可能性があります。
  • 看護師の専門性向上: フローシートを活用することで、看護師は患者さんの状態を深く理解し、専門性を高めることができます。
  • 働き方改革への貢献: 業務効率化により、看護師の負担を軽減し、ワークライフバランスの向上に貢献します。
  • 患者中心の医療の実現: 患者さんの情報を正確に把握し、患者さんとのコミュニケーションを重視することで、患者中心の医療を実現します。

フローシートは、看護師の皆さんの日々の業務を支え、患者さんの健康と安心を守るための、非常に有効なツールです。本ガイドを参考に、フローシートを積極的に活用し、より質の高い看護を提供できるようになることを願っています。

監修者プロフィール

宮本 大輔

宮本 大輔

【経歴】
聖ルチア病院、福岡県立精神利用センター太宰府病院にて勤務
2017年 リアン訪問看護 設立
2022年 ネクストリンク訪問看護 設立
2024年 地域創生包括支援協会 理事

【資格】
・看護師
・相談支援専門員
・サービス等管理責任者

出利葉 貴弘

出利葉 貴弘

株式会社テックナビ 取締役
 -医療・福祉分野の情報発信とDX推進を担う事業責任者
株式会社LIH 代表取締役
 -Webマーケター/コンテンツディレクター

福岡を拠点に、これまで500社以上のWeb制作・マーケティング支援を行ってきました。2025年より「訪問看護テックナビ」の責任者として、医療・福祉分野の情報発信やIT導入を推進しています。
訪問看護で働く方々や、利用者・ご家族のために、「わかりやすく信頼できる情報」を届けることが私たちの役割です。本サイトを通じて、現場を支える力になれれば幸いです。

【経歴】
2015年 個人事業にてWebマーケティング業を開始
2016年 アイティーラボ株式会社(久留米市) 設立
2018年 株式会社LIH(福岡市) へ社名変更
2025年 株式会社テックナビ 取締役就任「訪問看護テックナビプロジェクト開始」

【保有スキル・資格など】
・Web制作(ディレクション・設計・ライティング)
・SEOコンサルティング(実務10年以上)
・AI×業務効率化コンサル

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