訪問看護レセプト基礎知識|書き方、請求方法、勉強法を徹底解説

訪問看護レセプト基礎知識|書き方、請求方法、勉強法を徹底解説

更新
シェアする:

訪問看護の現場で「レセプトって難しそう…」「請求ミスで減算されたらどうしよう」と不安に感じているあなたへ。この記事では、訪問看護のレセプト業務について、基礎から分かりやすく解説します。医療保険と介護保険の違い、レセプトの書き方、請求方法、勉強方法、効率化のコツまで、初心者でも安心して理解できるよう丁寧に解説。この記事を読めば、あなたもレセプト業務のエキスパートに!

1. 訪問看護レセプトの基礎知識

訪問看護のレセプト業務を理解する第一歩として、基礎知識を習得しましょう。医療保険と介護保険の違いを理解し、それぞれのレセプトの特徴を把握することで、より正確な請求業務を行えるようになります。

1-1. 訪問看護レセプトとは?

訪問看護レセプトとは、訪問看護サービスを提供した際に、その対価を請求するための明細書のことです。レセプトには、患者さんの情報、提供したサービスの内容、費用などが記載されます。このレセプトを保険者に提出し、審査・支払いを経て、訪問看護ステーションは報酬を受け取ります。レセプトは、訪問看護ステーションの収入を左右する重要な書類であり、正確な作成が求められます。

1-2. 医療保険と介護保険の違い

訪問看護のレセプトは、患者さんの年齢や病状、利用している保険の種類によって、医療保険と介護保険の2種類に分かれます。それぞれの保険制度によって、請求できる費用や算定方法が異なります。

  • 医療保険: 主に、40歳未満の方や、特定疾患などで医療的なケアを必要とする方が対象です。医療保険のレセプトは、診療報酬点数表に基づいて算定されます。この制度では、訪問看護ステーションは、医療機関と同様に、医療行為に対する費用を請求します。
  • 介護保険: 65歳以上の方や、特定疾病により介護が必要と認定された40歳~64歳の方が対象です。介護保険のレセプトは、介護報酬点数表に基づいて算定されます。介護保険では、生活援助や身体介護などのサービスに対する費用を請求します。

それぞれの保険制度の違いを理解し、患者さんに適切な保険を適用してレセプトを作成することが重要です。

2. レセプト作成の基本

2-1. 記載項目と記入例

訪問看護レセプトには、患者情報から提供したサービスの詳細、費用まで、さまざまな項目を記載する必要があります。これらの情報を正確に記載することで、保険者に正しく請求し、報酬を得ることができます。ここでは、レセプトの主要な記載項目と、具体的な記入例を解説します。

  • 患者情報: 患者さんの氏名、生年月日、住所、保険証番号などを記載します。正確な情報を記載することで、保険者との照合をスムーズに行い、請求漏れを防ぎます。
  • サービス提供内容: 提供した訪問看護サービスの種類(訪問看護、訪問リハビリなど)、訪問日時、提供時間、実施内容などを詳細に記載します。この情報は、請求金額の根拠となるため、正確かつ具体的に記載する必要があります。
  • 費用: 訪問看護サービスの費用を、算定方法に基づいて計算し記載します。医療保険と介護保険では算定方法が異なるため、注意が必要です。内訳を明確にすることで、保険者からの問い合わせにも対応しやすくなります。

記入例:

ここでは、医療保険と介護保険、それぞれのレセプトにおける記入例を簡単に紹介します。実際のレセプトは、保険の種類やサービス内容によって記載項目や記入方法が異なるため、注意してください。より詳細な記入方法については、各保険者のマニュアルや、レセプト作成ソフトのヘルプなどを参照してください。

2-2. 算定方法のポイント

訪問看護レセプトの算定は、医療保険と介護保険で異なり、それぞれに特有のルールが存在します。これらのルールを理解し、正しく算定することが、請求の正確性を高めるために不可欠です。ここでは、算定方法の主なポイントを解説します。

医療保険の場合:

  • 診療報酬点数表に基づき、提供したサービスの種類、時間、回数に応じて点数を計算します。
  • 加算項目(緊急時訪問看護加算など)がある場合は、算定要件を満たしているか確認し、適切に加算します。
  • 月の訪問回数や、同一日の複数回の訪問なども考慮して、算定を行います。

介護保険の場合:

  • 介護報酬点数表に基づき、提供したサービスの種類、時間、回数に応じて単位数を計算します。
  • 加算項目(特定事業所加算など)がある場合は、算定要件を確認し、適切に加算します。
  • 利用者の要介護度や、サービス提供体制なども考慮して、算定を行います。

算定時の注意点:

  • 最新の点数表、単位数表を確認する: 制度改正により、点数や単位数が変更されることがあります。常に最新の情報を確認し、正確な算定を行いましょう。
  • 算定要件を確認する: 加算項目など、算定にはさまざまな要件があります。要件を満たしているか確認し、根拠となる記録をきちんと残しましょう。
  • レセプト作成ソフトを活用する: レセプト作成ソフトは、算定ミスを防ぎ、業務効率化に役立ちます。ソフトの指示に従い、正確に情報を入力しましょう。

3. 請求の流れと注意点

3-1. 請求期間と提出方法

訪問看護のレセプト請求には、決められた期間と提出方法があります。これらを遵守しないと、請求が受け付けられなかったり、支払いが遅れたりする可能性があります。ここでは、請求期間と提出方法について詳しく解説します。

請求期間

レセプトの請求期間は、通常、サービス提供月の翌月10日までです。例えば、4月に提供したサービス分のレセプトは、5月10日までに提出する必要があります。この期間を過ぎると、保険者に受け付けてもらえない場合があるため、注意が必要です。締め切りに遅れないように、早めにレセプトを作成し、提出準備を整えておくことが重要です。

提出方法

レセプトの提出方法は、主に以下の3つがあります。

  • 電子請求: 多くの訪問看護ステーションが利用している方法です。専用のソフトで作成したレセプトデータを、インターネット回線を通じて保険者に送信します。オンラインで完結するため、効率的で、郵送の手間も省けます。
  • 紙レセプト: レセプトを印刷し、郵送または窓口持参で提出する方法です。電子請求に対応していない保険者や、特別な事情がある場合に利用されます。手書きの場合は、記載ミスがないように注意が必要です。
  • オンライン請求: 一部の保険者では、オンラインでのレセプト作成・提出が可能です。専用のシステムを利用して、レセプトを作成し、提出します。

提出方法については、各保険者によって異なる場合があります。事前に確認し、適切な方法で提出するようにしましょう。電子請求の場合、専用ソフトの設定や操作方法を理解しておく必要があります。紙レセプトの場合は、郵送事故を防ぐために、書留や簡易書留を利用することをおすすめします。

3-2. 請求時のよくあるミスと対策

レセプト請求において、ミスは避けたいものです。請求ミスは、減算や返戻の原因となり、ステーションの収入に直接影響を与えます。ここでは、請求時に起こりやすいミスと、その対策について解説します。

よくあるミス

  • 算定誤り: サービス内容や時間、加算項目などを誤って算定してしまうミスです。特に、医療保険と介護保険の算定方法の違いを理解していない場合に起こりやすいです。
  • 記載漏れ: 患者情報やサービス提供内容など、必要な情報を記載し忘れるミスです。請求に必要な情報が不足していると、返戻の原因となります。
  • 入力ミス: レセプト作成ソフトへの入力ミス、手書きでの誤字脱字などです。わずかなミスでも、請求が通らないことがあります。
  • 保険情報の誤り: 患者さんの保険証情報(保険の種類、番号、有効期限など)を誤って記載してしまうミスです。保険情報が間違っていると、請求ができません。

ミスを防ぐための対策

  • 算定方法を正確に理解する: 医療保険と介護保険の算定方法をしっかりと理解し、最新の点数表や単位数表を確認しましょう。不明な点は、先輩看護師や事務員に確認したり、研修に参加したりして、知識を深めることが重要です。
  • ダブルチェックを行う: レセプト作成後、必ず複数人でチェックを行いましょう。特に、算定項目や金額、患者情報に誤りがないか、丁寧に確認することが重要です。チェックリストを作成し、それに基づいて確認を行うと、見落としを防ぐことができます。
  • レセプト作成ソフトを活用する: レセプト作成ソフトは、算定ミスや記載漏れを防ぐための機能が充実しています。ソフトの指示に従い、正確に入力しましょう。ソフトのバージョンアップにも注意し、常に最新の状態を保つことが重要です。
  • 記録を詳細に残す: サービス提供内容や、算定の根拠となる記録を詳細に残しましょう。記録が残っていれば、万が一、保険者から問い合わせがあった場合でも、スムーズに対応できます。
  • 定期的な研修への参加: 最新の制度改正情報や、請求に関する知識をアップデートするために、定期的に研修に参加しましょう。研修を通じて、他のステーションの事例や、請求に関するノウハウを学ぶことができます。

請求ミスを防ぐためには、日々の努力が不可欠です。常に正確な知識を身につけ、丁寧な作業を心がけることで、請求ミスを減らし、安定したステーション運営につなげましょう。

4. 効率的なレセプト業務の進め方

4-1. 業務効率化のコツ

訪問看護のレセプト業務を効率化することは、ステーション全体の業務改善につながります。ここでは、業務効率化のための具体的なコツを紹介します。

  • レセプト作成ソフトの活用: レセプト作成ソフトは、入力作業の自動化、算定ミス防止、請求漏れ防止に役立ちます。ソフトの機能を最大限に活用し、効率的なレセプト作成を行いましょう。多くのソフトは、保険制度の改正にも対応しており、常に最新の状態で利用できます。
  • 書類の電子化: 紙の書類を電子化することで、保管スペースを削減し、検索性を高めることができます。スキャナーや複合機を活用し、書類をデータとして管理しましょう。電子化された書類は、情報共有も容易になり、テレワークにも対応しやすくなります。
  • マニュアルの整備: レセプト業務に関するマニュアルを作成し、業務の標準化を図りましょう。マニュアルには、レセプトの記載方法、算定方法、請求の流れなどを具体的に記載します。新人スタッフへの教育にも役立ちます。
  • チェック体制の強化: レセプト作成後のチェック体制を強化し、ミスを未然に防ぎましょう。ダブルチェックやトリプルチェックを行うことで、入力ミスや算定誤りを発見できます。チェックリストを作成し、チェック漏れを防ぐことも重要です。
  • 情報共有の徹底: スタッフ間で情報を共有し、連携を密にすることで、業務の効率化を図ることができます。連絡ツールや情報共有システムを活用し、スムーズな情報伝達を心がけましょう。疑問点や不明点は、すぐに相談できる環境を整えましょう。
  • 業務分担の見直し: スタッフのスキルや経験に応じて、業務分担を見直しましょう。得意な業務を分担することで、効率的な業務運営が可能になります。定期的に業務分担を見直し、改善を図ることが重要です。
  • 外部サービスの活用: 専門家によるサポートや、アウトソーシングサービスの活用も検討しましょう。請求代行サービスを利用することで、レセプト業務にかかる時間と手間を大幅に削減できます。専門家のアドバイスを受けることで、請求に関する知識を深めることもできます。

4-2. 役立つツールと情報源

効率的なレセプト業務には、適切なツールと情報源の活用が不可欠です。ここでは、レセプト業務に役立つツールと情報源を紹介します。

  • レセプト作成ソフト: 多くのメーカーから、訪問看護向けのレセプト作成ソフトが提供されています。自社の業務フローや規模に合わせて、最適なソフトを選びましょう。無料トライアルなどを活用し、使いやすさを確認することも重要です。
  • 電子カルテ: 電子カルテとレセプト作成ソフトを連携させることで、情報入力の手間を省き、業務効率を向上させることができます。電子カルテの導入を検討する際には、レセプト作成ソフトとの連携機能も確認しましょう。
  • オンライン請求システム: オンライン請求システムを利用することで、レセプトの提出を効率化できます。保険者によっては、オンラインでのレセプト作成・提出に対応しています。利用できる場合は、積極的に活用しましょう。
  • 保険者関連のウェブサイト: 各保険者のウェブサイトでは、レセプトに関する最新情報や、様式、マニュアルなどが公開されています。常に最新情報を確認し、正確なレセプト作成に役立てましょう。
  • 厚生労働省のウェブサイト: 厚生労働省のウェブサイトでは、医療保険・介護保険に関する制度改正情報や、通知などが公開されています。最新情報を把握し、レセプト業務に反映させましょう。
  • 医療保険・介護保険関連の書籍: レセプトの基礎知識や、算定方法について解説した書籍も多く出版されています。専門書を読むことで、知識を深め、疑問点を解決できます。
  • セミナー・研修: 訪問看護のレセプトに関するセミナーや研修に参加することで、最新の情報を入手し、実践的なスキルを習得できます。積極的に参加し、スキルアップを図りましょう。
  • 専門家への相談: レセプト業務で困ったことがあれば、専門家(社会保険労務士、税理士など)に相談することも有効です。専門家の知識や経験を活用し、問題解決を図りましょう。

5. 訪問看護レセプトの勉強方法

5-1. おすすめの学習方法

訪問看護レセプトの知識を効果的に習得するための、おすすめの学習方法をご紹介します。自身のスキルレベルや学習スタイルに合わせて、最適な方法を選びましょう。

  • 参考書での学習: レセプトに関する専門書は、基礎知識から応用まで幅広く網羅しています。図解や事例を参考に、理解を深めましょう。初心者向けのわかりやすい解説書を選ぶと、スムーズに学習を進められます。
  • 研修への参加: 訪問看護ステーションや関連団体が主催する研修に参加し、実践的な知識を学びましょう。最新の制度改正情報や、具体的な事例を学ぶことができます。他の参加者との交流を通じて、情報交換やモチベーション維持にもつながります。
  • e-ラーニングの活用: オンラインで利用できるe-ラーニングは、自分のペースで学習を進められるため、忙しい方にもおすすめです。動画やクイズ形式で、楽しく学習できます。スキマ時間を有効活用し、効率的に知識を習得しましょう。
  • レセプト作成ソフトの活用: レセプト作成ソフトには、学習機能が搭載されているものがあります。ソフトの操作方法を学びながら、レセプト作成の基礎を習得できます。実際のレセプト作成を通して、実践的なスキルを身につけましょう。
  • 先輩看護師への質問: 疑問点があれば、積極的に先輩看護師に質問しましょう。実際の経験に基づいたアドバイスは、非常に参考になります。質問しやすい環境を作り、積極的に情報交換を行いましょう。
  • ロールプレイング: 実際のレセプト作成を想定したロールプレイングを行い、実践的なスキルを磨きましょう。様々なケースを想定し、対応力を高めましょう。

5-2. 役立つ参考書とウェブサイト

訪問看護レセプトの学習に役立つ参考書とウェブサイトをご紹介します。信頼できる情報源を活用し、知識の習得に役立てましょう。

  • 参考書:
    • 「訪問看護レセプトの基礎」: 訪問看護レセプトの基礎知識を網羅した入門書です。図解が豊富で、初心者にもわかりやすく解説しています。
    • 「訪問看護レセプト算定のポイント」: 算定方法に焦点を当てた専門書です。具体的な事例を用いて、算定のポイントを解説しています。
    • 「医療保険・介護保険レセプトの書き方」: 医療保険と介護保険のレセプトの書き方を、具体的に解説しています。記入例や注意点も掲載されています。
  • ウェブサイト:
    • 厚生労働省: 医療保険や介護保険に関する最新情報、制度改正情報が掲載されています。レセプト作成の根拠となる情報を確認できます。
    • 国民健康保険中央会: レセプトに関するQ&Aや、審査支払に関する情報が掲載されています。疑問点を解決するのに役立ちます。
    • 各都道府県の社会保険事務局: レセプトの提出方法や、審査に関する情報が掲載されています。地域ごとの情報を確認できます。
    • 訪問看護ステーション向けの情報サイト: レセプトに関する情報や、役立つツールが紹介されています。最新情報を収集しましょう。

これらの参考書やウェブサイトを活用し、効率的に学習を進めましょう。

6. まとめ:レセプト業務をマスターして、訪問看護のプロへ

訪問看護のレセプト業務は、正確性と効率性が求められる重要な業務です。この記事では、レセプトの基礎知識から具体的な作成方法、効率化のコツ、そして学習方法までを網羅的に解説しました。

レセプト業務をマスターすることは、請求ミスを減らし、ステーションの収益向上に貢献するだけでなく、自己成長とキャリアアップにもつながります。この記事で得た知識を活かし、ぜひ訪問看護のプロフェッショナルとして活躍してください。

日々の業務を通じて、常に知識をアップデートし、質の高いサービスを提供できるよう、共に成長していきましょう。

監修者プロフィール

宮本 大輔

宮本 大輔

【経歴】
聖ルチア病院、福岡県立精神利用センター太宰府病院にて勤務
2017年 リアン訪問看護 設立
2022年 ネクストリンク訪問看護 設立
2024年 地域創生包括支援協会 理事

【資格】
・看護師
・相談支援専門員
・サービス等管理責任者

出利葉 貴弘

出利葉 貴弘

株式会社テックナビ 取締役
 -医療・福祉分野の情報発信とDX推進を担う事業責任者
株式会社LIH 代表取締役
 -Webマーケター/コンテンツディレクター

福岡を拠点に、これまで500社以上のWeb制作・マーケティング支援を行ってきました。2025年より「訪問看護テックナビ」の責任者として、医療・福祉分野の情報発信やIT導入を推進しています。
訪問看護で働く方々や、利用者・ご家族のために、「わかりやすく信頼できる情報」を届けることが私たちの役割です。本サイトを通じて、現場を支える力になれれば幸いです。

【経歴】
2015年 個人事業にてWebマーケティング業を開始
2016年 アイティーラボ株式会社(久留米市) 設立
2018年 株式会社LIH(福岡市) へ社名変更
2025年 株式会社テックナビ 取締役就任「訪問看護テックナビプロジェクト開始」

【保有スキル・資格など】
・Web制作(ディレクション・設計・ライティング)
・SEOコンサルティング(実務10年以上)
・AI×業務効率化コンサル

トップへ戻る

掲載希望の事業主様へ

「訪問看護テックナビ」はあらゆる理由により訪問看護のご利用を検討されている方に向けて、日本全国の訪問看護事業者の情報を公平な立場で掲載するプラットフォームサイトです。
訪問看護事業を営んでいる事業主様と患者さまをお繋ぎする架け橋となることを目指しています。掲載をご希望の方は是非お気軽にお問い合わせください。

掲載希望の方へ